8. 「稀代の天才」の思考

2023・3・13 「稀代の天才」の思考

2023・3・13 「稀代の天才」の思考

2021年11月に史上最年少で四冠を達成した藤井聡太くんと、ips細胞の研究で2012年にノーベル賞を受賞した山中伸弥先生の対談集『挑戦 常識のブレーキをはずせ』を読みました。世界の最前線で挑戦を続ける2人に共通する日常の準備、学び方、メンタルの持ち方が紹介されていて「天才」の思考に感動の連続!

特に、年齢も職業も違う二人に共通してる事がありました。

それは、「負けから学ぶ」ということでした。山中先生は「負けたところからどれだけ学べるかにかかってますね。(略)たとえ予想と違っても、結果をどれだけちゃんと記録して、ちゃんと解析もするか。そこから本当に思いがけないことにつながります」と一方、負けず嫌いな性格。幼いころ、普段は泣き虫ではないのに、将棋で負けるたびに号泣して周囲の目をひいたという藤井くん。「勝った将棋に関しては、それはもう過去のこと。それを振り返るというよりは、やはり負けた将棋から反省点を抽出して、次につなげることのほうが大事なのかなと思います」と。

「負けず嫌い」で終わるのか。「負けから学ぶ」と続くのか。そこに大きな違いがあるんだと思いました。

そして、最も感銘したのは、「異なる分野の知恵に触れる」という章でした。

山中先生が奈良の大学で教えていた時、ips細胞を作り始めた頃だっとそうです。まだipsという名前もなく、本当に実証できるかどうかも不明な時に、植物の研究者に「万能細胞を作りたいんですけど。なかなか難しです」ともらしました。その先生が「山中さん、植物の場合、体じゅう万能細胞だらけだよ」と言われて、要は植物は挿し木とかで、どんどん増えちゃう。枝や茎をきると、そこから万能細胞がわーっと出てきて、新しいのが生まれる。その挿し木で日本中に広まったのがソメイヨシノで。全部がクローンだという話になりますよ」と。

山中先生は、その話を聞いた時に「難しい。もうできない」と自分で自分に勝手にかけていたips細胞のブレーキがすっーーとはずれたと言っています。「植物にできるんだったら、動物にもできるんじゃないかと思いました」と。それで、実際にそこから数年でips細胞ができたそうです。分野の違う人と話して、自分のマインドセットが変わり、それが自分の成長につながっていくのです、とありました。

この本のタイトルは「挑戦」そして、サブタイトルは「常識のブレーキをはずせ」です。稀代の発明は、今、目の前でやっている挑戦に忍耐力をもって臨み、沢山の経験値や異分野の発想を取り入れていく中で生まれました。兎も角、二人の対話には、学ぶべき視点の連続でした。

余談ではありますが、この本の中で、山中先生が記憶力が人知を超えている藤井壮太くんに「そろばんをやってましたか❔」と聞く箇所が一か所あります。藤井君は、そろばんをやってないのですが、山中先生は「そろばんをやっている人の記憶力はすごいといわれています」とそろばんの持つ力を紹介してくださっておりました。いつか、脳におけるそろばんが発揮できる力を証明して下さる日がくることを夢に抱きたいと思います。